そばにいて





「高山さんって、確か昨日……。」






「……うん。」




藤堂と沖田は優奈を見た。


目の前に立つこの少女には、
もう母親は存在しないのだ。





「あの、何ですか?」




二人があまりにも真剣にこちらを見るものだから、妙に緊張する。





「その高山なんとかっていうのは、私のお母さんなんですか?」




何気ない質問だった。


もしろ、今の優奈には
疑問に思って当たり前のことだ。





「え?君、自分の母親のこと……―――



「平助!」



藤堂の言葉を遮り、沖田は叫んだ。






「詳しいことは後で話す。
とりあえず優奈さん、ちょっと俺について来て下さい。」




そういうと、沖田は
優奈の腕を掴み、歩きだした。





「え、おい!総司!!」




「…………………。」






あ、また無視だ。





「あのー……。呼んでますよ?」





沖田の顔を下から覗き込んで、優奈は言った。





わずか150ほどしかない
優奈にとっては
160は軽くこえている
沖田はデカすぎる。






「いいんですよ、あんなのはほっといても大丈夫ですから。」






あぁ、藤堂さんは
そうゆう扱われかたなんだ……。






なんか、ちょっと可哀相…。






「そんなことよりも、今は貴女のことの方が問題だ。」





そう言うと、沖田は更に足を速めた。












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