そばにいて
―――桜が綺麗ですね――――
―えぇ、本当。私の娘にも見せてあげたいくらいです―――
――確か、娘さんとは今、離れて暮らしているんですよね?――
――えぇ……。
あの子とは、もう会えません……きっと………。――
―――……………あ、そうだ!ここの桜にはとある伝説があるんです。――――
――伝説?―――
――はい、この桜の花びらをこうして………――――
―――な、何を?―――
―――貴女の手の平に載せて、飛ばしてみて下さい――――
―――?……はい……―――
フワァ……―――
―――あ、消え……た?――――
―――ここの桜の花びらは自分の大切な人の願いを一つだけ、叶えてくれるんです。
どんなに離れていても、この花びらは必ず相手に届くんですよ―――――
―――そう…なん…ですか……――――
―――早く、娘さんに会えるといいですね。
………ところで、娘さんのお名前は?――――
――――娘の名は……――――
―――“優奈”―――――