そばにいて





―――桜が綺麗ですね――――






―えぇ、本当。私の娘にも見せてあげたいくらいです―――









――確か、娘さんとは今、離れて暮らしているんですよね?――







――えぇ……。
あの子とは、もう会えません……きっと………。――







―――……………あ、そうだ!ここの桜にはとある伝説があるんです。――――







――伝説?―――






――はい、この桜の花びらをこうして………――――







―――な、何を?―――







―――貴女の手の平に載せて、飛ばしてみて下さい――――







―――?……はい……―――







フワァ……―――







―――あ、消え……た?――――








―――ここの桜の花びらは自分の大切な人の願いを一つだけ、叶えてくれるんです。
どんなに離れていても、この花びらは必ず相手に届くんですよ―――――









―――そう…なん…ですか……――――






―――早く、娘さんに会えるといいですね。
………ところで、娘さんのお名前は?――――








――――娘の名は……――――














―――“優奈”―――――









< 5 / 33 >

この作品をシェア

pagetop