そばにいて
「ねぇ、この花びら……なんかおかしいよ……。」
相変わらず花びらを返さない美羽が言った。
「おかしい……?
てか、この時期に桜の花びらがある時点で、既におかしいっつーの。」
颯太はそう言いながら、美羽から花びらを取り上げた。
「あっ……!!」
「はい、観賞タイムおしまーい!!」
茶目っ気たっぷりに颯太が言った。
そして……
「高山、ほらよ。」
そう言って、私に返してくれた。
(そんなこと言うんだったら、初めから奪わないでよ……!)
優奈はそう思ったが、一応
「ありがとう。」
と笑顔で言った。
「…………。」
颯太は顔を真っ赤にして、固まってしまった。
その様子を見て、美羽は一瞬顔を曇らせたが、すぐに笑顔に戻して言った。
「それよりも、早く部活に行こっ!
早くしないと、先輩怒るよ!!」
「あ、うん!」
「ホントだ、やべぇな。」
私達は急いで、道場へと向かった。