たとえばあなたが



「石田崇文くんだね」



「…はい」



刑事と思われるその男に、



「発見したときの様子を聞かせてもらえるかな」



と言われ、崇文は玄関のほうを指差した。



「さっき、あのお巡りさんに話しましたけど」



その『お巡りさん』は、野次馬整理に余念がない。



「そうだね、でも悪いんだけど、もう一度、同じ話をしてくれるかな」



崇文は、舌打ちしたい気持ちを抑えて、刑事に促されるまま父親の隣に座った。



すぐに母親も来て、崇文の隣に座った。



刑事が別の若い刑事に呼ばれて、すぐ戻りますから、とリビングを出て行くと、部屋には3人だけが残った。



「…あの子は?」



「2階のお前の部屋だ」



「どうすんだよ」



「今は部屋から出ないように、と言ってある。こんな…こんなところを…」



大輔が、震えた手で頭を抱え込んだ。








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