たとえばあなたが



「おいおい、やめてくれよ。目立つだろ」

周囲の目を気にして、慌てて頭を上げるように促すと、刑事はもう一度ふたりの顔をまじまじと見つめた。



「…キミたち、何なの。何を企んでんの?」

「……」

「まさか自分たちで犯人見つけようとか、おかしなこと考えてんじゃないの?」

「……」



「聞きたいことだけ聞いておいて、こっちの質問には答えてくれねーのか」

刑事は難しい顔をして、タバコに火をつけた。



「もう時効になってるんだ。犯人を特定できず悔しい気持ちは警察だって同じなんだよ。あんたたちシロウトが変なことを考えないほうがいい」

しかし千晶は、刑事の言ったことが聞こえなかったかのようにテーブルの紙を引き寄せて、

「この人たちを探しているんです」

と、文字を指した。



その紙は古い新聞記事のコピーで、千晶の指は、



【この件に関与した社員6人を解雇したと発表した】



の『6人』という部分を示していた。




< 109 / 446 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop