たとえばあなたが
「この6人というのが誰なのか、どう調べても名前がわからないんです」
「俺だって知らんよ」
「でも、当時の資料を見れば…」
「できるわけないだろ、そんなこと」
刑事は小声ながらも鋭く早口で、千晶を制した。
「内部の情報を漏らしたりしたら、俺のクビが飛ぶよ」
「…じゃあ当時、事件を担当していたほかの刑事さんを教えてください」
「……」
刑事は、ふぅっと煙を吐き出して、タバコの灰を灰皿に落とした。
「キミさ、もうちょっとうまい聞き方があるんじゃないか?」
「うまく聞いたら教えてくれますか?」
「アホか」
千晶が黙ると、隣で黙って聞いていた崇文が体を乗り出した。
「6人のうち、誰かひとりだけでもいいんです。お願いします」
「…いつまで続くんだよ、この堂々巡りは」