たとえばあなたが
少女は、なかなか眠りにつけずにいた。
明日開幕の横浜博覧会。
開幕日に話題のイベントに行けるなんて、夢のようだ。
気持ちが高ぶり、まったく眠気を感じなかった。
それでも、なんとしてでも寝なくては。
(明日、疲れちゃう)
少女は無理矢理目を閉じた。
部屋の外からは、バタンという大きな音が聞こえている。
ダンダンと音を立てて階段を昇っていくのは、いとこの崇文だろう。
以前は一緒に遊んでくれたいとこは、ここ数年ですっかり近寄りがたい人になってしまった。
(明日、タカちゃんも一緒に行くのかな…)
少女は、ちょっと怖いな、と思いながら、だんだん眠りに落ちていった。