たとえばあなたが
それから1時間後。
千晶の代役としての萌の仕事は、拍子抜けするほどあっさりと済んだ。
『私がしっかり小山さんのこと紹介してくるからね!』
と意気込んで来たものの、実際には萌の出る幕はほとんどなかった。
(小山さん、やっぱり前の会社でも只者じゃなかったに違いない…)
会議室に集まった若い面々の中、会議は終始小山のリードで運ばれ、小山は一瞬にして相手先の信用を得ることに成功した。
ビルを出てすぐに、
「小山さん、すごいですね」
と駐車場に向かいながら感嘆する萌に、小山は余裕の表情で笑った。
その笑顔は、もともとの爽やかさに大人の渋味も加わって、萌の目にとても魅力的に映った。