たとえばあなたが



ふたりが入った店は、大通り沿いにあるベーカリーだった。

パン屋と併設のカフェスペースには、まだ11時すぎだというのに女性グループの姿が数組見える。

このあたりでは人気の店なのかもしれない。



萌たちも席に案内され、渡されたメニューをさっそく開いた。

パン屋で売られている豊富な種類のパンは、どれも店内で食べられるようになっているらしい。

そのほか、パスタやオムライスなども用意されていて、さらにはコーヒーや紅茶にもこだわりが感じられる、本格的な品揃えだった。



「決めた。ローズヒップティー」

萌はいつも、オーダーで悩まない。

千晶には、

『とくにこだわりがないんでしょ』

と言われるが、そうではなくて、これは自分の特技だと萌は主張している。



「え、早いですね。えっと、じゃあ僕は…」

小山はメニューを手繰り寄せて、

「キャラメルマキアート」

こちらも即決だった。




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