たとえばあなたが
「小山さん…」
聞き覚えがあってどこか懐かしく、心地よいとさえ思った声の主は、小山だった。
「大丈夫ですか?起こしたりして、悪かったかな」
「いえ、助かりました。すいません、ありがとうございます」
そのとき、千晶はハッと気がついた。
(パソコン!)
たしか萌からのメールを開いたまま、眠ったはず。
小山についてあれこれ書かれているメールを、よりによって本人に見られていたら大変だ。
千晶は焦ってパソコンを見たが、幸いにも画面はスクリーンセーバーになっていた。
(良かった~…)
それでも念のために確認してみる。
「あのぉ、私のパソコン、見ました…?」
千晶が探るような視線を送ると、小山は不思議そうな顔をして、
「いいえ?スクリーンセーバーになってましたし」
と言った。