たとえばあなたが



(あー…良かった)

千晶は、今度こそ安堵の息を吐いた。



萌の名誉のためにも、まだ彼女のこんな本性を見せるわけにはいかない。

もし見られたりしたら、どれだけ怒られることか。

千晶は、かわいい顔を真っ赤にして怒る萌を想像して、軽く身震いした。

(怖い怖い…気をつけなくちゃ)



気分転換に、

「ちょっとお茶でも淹れてきます」

と席を立と、小山が、

「あ、じゃあ」

と右手に持っていた紙袋を掲げた。



「ベーグル、営業の帰りに佐山さんと寄ったカフェで買ってきたんです。一緒にどうですか」

「いいんですか?」

「もちろん。木村さんのために買ってきたんだから」

「わぁ、ありがとうございます!」




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