たとえばあなたが
もしもこの瞬間が永遠に続くのなら、どんなに幸せだろう。
ずっとこのまま、こうして一緒にいられたら…―
千晶がそう呟くと、小山はやさしく千晶の頭を撫でた。
「そうだね」
と耳元で囁く。
初めてのデートから1ヶ月余り。
街はすっかりクリスマスの準備を始めている。
ふたりはあれからぐっと距離を縮め、何度もデートを重ねていた。
男らしくてやさしい小山が、自分の隣でリラックスした様子で横たわっている。
その現実に、千晶はこの上ない幸福感に満たされていた。
職場では、小山はすでに研修を終えて千晶の上司となっている。
だからというわけではないが、もちろんふたりの間柄は誰にも言えない秘密の仲だった。
職場恋愛は千晶にとって初めての経験で、バレてはいけないというスリル感が快感でさえあった。