たとえばあなたが
最初の料理が運ばれてきて、萌はマカロンの箱を紙袋に戻した。
「ずっと思ってたって…萌ちゃん~…」
これに関しては、絶対にされたくない誤解だ。
「違うよ、全然違う。俺とあいつは、いとこで幼馴染、それだけだよ」
「…ふぅん」
萌は、どうも納得のいかない様子だ。
慣れた手つきでサラダを取り分けながらも、まだ疑わしげな視線を崇文に向けている。
「だいたいさ、あいつ彼氏できたじゃん」
崇文も一度だけ会ったことのある、小山徹。
実はあのとき、崇文は酒に酔っていて、ほとんど記憶がない。
けれど、どうも小山に失礼なことを言ったようで、あとで千晶にこっぴどく叱られた。
あのときの千晶の剣幕といったら…―
崇文が、うろ覚えの小山の顔を思い出して、頭をポリポリ掻いていると、
「それ!」
萌が目の色を変えて、身を乗り出した。