たとえばあなたが



今日の萌は、憂いを帯びたり笑ったり、かと思えば乗り出してきたり、どうも一貫性がない。

ペースが掴めず、崇文は戸惑った。



「えっ?」

「だからぁ、その、彼氏!」

「彼氏がどうした」

「千晶とうまくいってるの?」

「はい?」



萌はまっすぐに崇文の目を見ていた。

その顔はとても真剣で、ただの興味本位で聞いているのではないことがわかった。



そんなの知らねーよ、と軽口を叩いて流そうかと思ったけれど、できそうもない。



とはいえ、

「俺なんかより、萌ちゃんのほうが詳しいんじゃないの?」

こういった話は、幼馴染なんかよりも、女友達とするものだ。



ところが崇文の言葉に、萌はまた憂い顔に戻って、下を向いてしまった。




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