たとえばあなたが
小山に対し親近感こそ感じていたものの、こうなるとしたら萌だと思っていた。
改めて、今の幸せを実感する。
「俺だって、こんなに年下の彼女ができるなんて、夢にも思ってなかったよ」
「あ」
その言葉に千晶は、気になっていたことを思い出して、グラスを置いた。
「そういえば小山さん、私の年齢なんて誰に聞いたの」
「え?」
唐突な質問に、小山は首をかしげた。
「初デートのとき、車の中で、私服だと年齢より若く見えるって言ったでしょ」
「ああ、あのときか」
「私、年の話なんてしてないのに小山さんが知ってたから、びっくりしたのよ」
小山は、バツの悪そうな顔をして頬をポリポリ掻いた。
「あー…、佐山さんに聞いたんだったかな…よく覚えてないけど」
「やっぱり萌ちゃんね、おしゃべりなんだから」
「あの子、元気だよね」
「ふふ、ほんとね。その元気に何度救われたことか」