たとえばあなたが
たわいもない話をしている間にも、次々と料理がテーブルへ運ばれてくる。
それらの料理は、どこをとっても文句のつけようのない味だった。
小山も、
「塩もいいけど、このソースもうまいね」
と、肉料理を堪能した。
時間が経ち、デザートになると、ふたりは別室に案内された。
「デザート食べたいけど、もうお腹いっぱいで入らない」
「俺も」
有無を言わさず通された別室のカウンターには、熱い鉄板のかわりに冷たい石のプレートが置いてあった。
好きな材料を選ぶと、パティシエがその材料を使ってアイスクリームを作ってくれるという。
宝石箱のように美しく並べられた色とりどりのフルーツやチョコレートを見て、
「わぁ!じゃあ、私…―」
と千晶が舞い上がると、小山が声をあげて笑った。
「入らないって言ってたの、どこの誰だよ」
「えーだって、これを見せられたら、ねぇ?」
ねぇ、と言われたパティシエは、そんなふたりを楽しそうに見ていた。