たとえばあなたが
―…美しいイルミネーションを眺める千晶たちの姿は、周りの人々の目にどう映っているだろう。
この涙が、幸福の涙に見えていてほしい。
千晶は、心からそう願った。
『平等に、幸せになる権利はある』
力強く、心に響く言葉だった。
「平等に…」
けれど、そう言った小山自身の表情が苦悶に満ちている。
「…どうしてそんな顔をするの?」
千晶が聞いても、小山は黙ったままだった。
「そんな顔、しないで」
小山には、笑っていて欲しい。
大丈夫だよ、と微笑んで欲しい。
だけど、小山にそんな顔をさせているのは、紛れもなく自分だった。
「そんなつらそうな顔しないで…じゃないと私…」
幸せになってはいけないと、思い知らされてしまうから…―