たとえばあなたが
蛍光灯が切れかかっている。
ただでさえ薄暗い地下室が、ますます陰気に感じられて、千晶は嫌な気分になった。
自分で取り替えようにも、手が届かない。
お気に入りの黒光りする椅子やテーブルに乗るのも気が進まなかった。
やがていつものように階段を下りる音がして、静かに扉が開いた。
崇文が、どことなく軽快な足取りで入って来る。
「…ご機嫌ね」
冷ややかな口調で千晶が言うと、崇文は、
「まあね」
と言って、タバコに火をつけた。
何かいいことでもあったの、と聞いてやってもいいが、長くなりそうな気配を感じる。
千晶は、一旦開きかけた口を閉じて、上を指差した。
「ねえ、蛍光灯、交換して」