たとえばあなたが
崇文は、ふうっと煙を吐いて蛍光灯を見上げた。
明るさが弱まり、ときどき小さく点滅している。
「あー…切れそうだな」
「私、届かないから」
「来週やるよ」
崇文はまたタバコをくわえて、落ち着きなく狭い室内を歩き回った。
そして、頬杖をついて座っている千晶を横目で見て言った。
「……聞かないの?」
「何を」
「いいことあったの、とか」
「聞いて欲しいの?」
「…別に」
「じゃあ、どうでもいい」
「……」
千晶は崇文を尻目に立ち上がり、部屋の角にあるポットで紅茶を淹れた。