たとえばあなたが



礼子はモンブランを一口食べて、甘~い、と体をくねらせた。

「……」

クリスマスに崇文があげたマカロンを食べて、甘~いと喜んだ萌と重ねてみる。



(……カムバック!萌ちゃん!)



「それでぇ、今日はどうされたんですかぁ?」

天使の萌が目の前に浮かんだのも束の間、崇文は一瞬で現実に引き戻された。

「あ、いや、あの…」

「??」

礼子が、目を大きく見開いて崇文を見ている。

それは、何らかの期待を含んだ眼差しだった。



「いや、あの…」

崇文としては、誤解されるわけにはいかない。

それでも、威圧感に押されて用件を切り出せずにいると、礼子がぐっと身を乗り出して、

「いいんですよ」

と、遠慮がちに言った。




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