たとえばあなたが



物好きというのは本当にいるものだな、と崇文は思った。

まじまじと、目の前の礼子を観察してみる。



傷みきった金髪。

濃いブルーのアイシャドウ。

ティーカップにもべっとりついている真っ赤な口紅。

そして、おそらく現在このカフェ中に充満しているであろう香水の匂い。



(どう育てらてたら、これを正しいと思えるんだ)

ここは是非、婚約者とやらにも聞いてみたい。



崇文が礼子を呼び出した目的は、中西刑事への架け橋となってもらえるように礼子に頼むという、重大な役目を果たすためだった。

果たせず戻ったら、千晶はどれだけ怒るだろう。

しかし、それよりも崇文は、目の前の化粧オバケの婚約者に興味をまるごと持っていかれてしまった。




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