たとえばあなたが



アンティークものかもしれない。

絵画ギャラリーで働いているだけに、そういう趣味があっても不思議はない。

仮にそうだとしても、彼の写真をロケットペンダントに入れて持ち歩くなんて、今時の人がやることではないが。



しかし崇文は、その写真を目にするとすぐに、それが自分たちにとって、ただのロケットペンダントではないことを悟った。



「…え…?」

(この人が、婚約者…?)



色あせた小さな写真。

そこには、微笑む若い男性が写っていた。

色の質から考えて、20年ほど前の時代に撮られた写真のようだった。



「……」

崇文は、男性の顔から目が離せなくなった。



似ているというレベルではない。

本人そのものだと、崇文は思った。

今より細身で肌の色も白いけれど、年月が変えたとも考えられる。



(これは…どういうことなんだ)



小さなロケットの中で、若かりし頃の小山徹が微笑んでいた。







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