たとえばあなたが



この写真の男が被害者だと、中西は言う。



「他殺って…誰が」

「知らねーっつーの。もうやめろ。あの事件のことは忘れたほうがいいって、前にも言ったろ」

余計な詮索はするなとばかりに、中西はひっきりなしにタバコを吸っている。

この話題が中西にとって、相当のストレスになっているようだった。

それでも、だからといってやめることなどできない。

崇文は、気付かないフリをした。



「まあでも、大方、木村家をやったのと同じ奴だろうって見方だったよ」

ポツリと中西が言った。

「そうですか」

「それからだよ、礼子が変わったのは」

「変わった…?」



崇文の頭の整理がつくのを待たずに、中西は話を進めて行く。

崇文は、次から次へと耳に飛び込んでくる情報を受け止めるのに精一杯だった。




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