たとえばあなたが
遺体の損傷は激しいが、身長や骨格など、身体的な特徴の一致がいくつか見られた。
社員証の存在や周辺の足跡の大きさから判断しても、死体は松田本人と断定していいレベルだと、鈴木は言った。
『どうして…松田が…』
中西は、半ば呆然と鈴木の話を聞いた。
『事情聴取じゃ言わなかったけど、やっぱり何か知ってたんだろうなぁ、去年の事件のこと』
鈴木は、若い中西が感情的になるのを抑えるように、淡々と言った。
松田が、木村家殺害事件について重要な何かを知っているのではないか。
松田が行方をくらました時点で、そういう指摘はあった。
犯人かもしれない。
いや、それとも犯人に脅されているのかも…―
憶測はさまざまだったが、もう本人に聞くことは叶わなくなってしまった。