たとえばあなたが



翌日の1月30日、土曜日の朝。

ベッドのサイドテーブルで、携帯が鳴った。

それに気づいても、千晶はまだベッドの中から抜け出せないでいた。



「…~っ…さむい…」

手だけを伸ばして携帯を探り、布団の中に引っ張り込んで耳に当てた。

「もしもし…」

千晶は朝にめっぽう弱い。

低血圧に加え、昨夜は小山のことを考えていてあまり眠れなかったせいで、今朝はとりわけ寝起きが悪かった。



そして、そんな朝に電話の向こうから聞こえてきた声は、さらに千晶の体を重くした。



『あー、俺』

「……」

今、いちばん聞きたくない崇文の声。

千晶はボスッと枕に顔をうずめた。





< 283 / 446 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop