たとえばあなたが
翌日の1月30日、土曜日の朝。
ベッドのサイドテーブルで、携帯が鳴った。
それに気づいても、千晶はまだベッドの中から抜け出せないでいた。
「…~っ…さむい…」
手だけを伸ばして携帯を探り、布団の中に引っ張り込んで耳に当てた。
「もしもし…」
千晶は朝にめっぽう弱い。
低血圧に加え、昨夜は小山のことを考えていてあまり眠れなかったせいで、今朝はとりわけ寝起きが悪かった。
そして、そんな朝に電話の向こうから聞こえてきた声は、さらに千晶の体を重くした。
『あー、俺』
「……」
今、いちばん聞きたくない崇文の声。
千晶はボスッと枕に顔をうずめた。