たとえばあなたが
崇文は、リビングの3人掛けソファに、両親に挟まれて座っていた。
向かい合わせに、テーブルを挟んでひとり掛けソファがふたつ並べて置いてあり、そのひとつに刑事が座っている。
50代と思われるその刑事は、身だしなみも綺麗で、シャキッとしていた。
(やっぱドラマのデカみたいな、小汚い感じじゃないんだな)
崇文は、事件の第一発見者という重要な立場でありながら、どこか他人事のように感じていた。
現実味がわかない、という心境を持て余してキョロキョロしていると、
「なるほどなぁ」
と刑事が呟いた。
「ということは、2階にいる子は、お向かいの家の次女、ということですね」
朋美が、声を殺して泣きながら頷いた。
「…もし、もしあの子がここに泊まっていなかったら、あの子まで……」
朋美は、ハンカチで顔を覆って泣いた。
刑事はうんうん、と何度も頷き、父親の大輔は黙って膝の上で組んだ両手をじっと見ていた。