たとえばあなたが



「あーごめーん、私の携帯だ」

萌がキッチンからパタパタと走って来て、

「あれ?」

ただならぬ様子の千晶と崇文を見て、眉を寄せた。

「またケンカ?」

「ち、違うの」

千晶は慌てて手を振って否定した。

「何でもないのよ。それよりほら、電話。早く出ないと」

「あ、そうそう」

萌は携帯電話の画面を見て、みっちゃんだ、と呟いて電話を耳に当てた。

相手はどうやら、ランチ御用達の店の美佐からのようだ。



電話番号まで交換するほどの仲だったとは、千晶は知らなかった。

けれど、そんな顔の広さも萌らしい。




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