たとえばあなたが
「もしも~し、みっちゃん?うん…うん。えーどうしたの?」
楽しそうに話している萌を指差して、崇文が、
「誰?」
と千晶に聞いた。
「いつも行くランチのお店の女の子よ」
ふぅん、と崇文が言うと同時に、萌が、
「えーっ!」
と、飛び上がるほどの大声で叫んだ。
「び…っくりした…」
千晶と崇文が萌を見ても、萌はふたりのことなど気にも留めず、興奮気味に夢中になって話を続けていた。
「えー、嘘、信じられない。本当?でもあの人、初めて会ったときからきちんとしてたよ」
(あの人?)
コンパの相手かしら、と千晶は思った。
飲み会の席では相手のことなどわからない、というのが千晶の持論。
電話が終わったら、それみたことかと言ってやろう。
そんなことを思いながらお茶を飲んだとき、萌がチラリと視線を千晶に向けた。