たとえばあなたが



―…パッとしないコワモテ。

そう思った記憶がある。

たしかに、小山と同じくらい大柄の男性だったことも覚えている。



だけど帰り際に見たはずの顔は、やはり思い出せなかった。



「みっちゃんの見間違いじゃない?雰囲気だって全然違うし」

千晶には、あのときの男性が小山と同一人物だとは、想像することすらできなかった。



「私もそう言ってみたんだけど、間違いないって」

萌は、まだ少し興奮していた。

「昨日私が小山さんとランチに出たとき、私たちがあの店の前を通ったのを、みっちゃんが見てたんだって」

それで、萌があのときの客と知り合いだったことに驚いて電話してきたのだと言う。



「小山さんって昔のこと聞いても教えてくれないし、どこか謎めいてるって思ってたんだよね~」

首をひねる千晶と黙り込む崇文をよそに、萌はワクワクした様子で話し続けた。




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