たとえばあなたが
ラーメンは鍋の中で伸び切っていて、もったいないからとひと口食べてみたものの、とても食べられたものではなかった。
萌の、
「処分!」
のひと言で、ラーメンは哀しくも、食されることなく短い生命を終えた。
そして夕方の帰り道。
千晶と崇文は並んで歩いていた。
「ラーメンはもったいなかったけど、でも千晶が買ってきたドーナツはうまかったな」
「そうね。ラーメン食べてたら、ドーナツを食べ損ねてたかも」
千晶の隣では、崇文が満足げな様子で満タンになったお腹をさすっている。
「ねえ」
「んー?」
千晶は空を見上げて、ほとんど沈みかけている太陽に目を細めた。
「タカちゃんはどう思う?」
太陽は眩しく燃えて、世界を真っ赤に染めていた。