たとえばあなたが
さりげなく切り出したつもりだけれど、声が硬くなってしまったかもしれない。
「…何が?」
崇文の返事も、本当はわかっているというニュアンスだった。
萌の興味が伸びたラーメンに向けられてからは、小山のことが話題に上ることはなかった。
けれど、千晶の心の中ではいつまでもそのことが引っかかっていた。
「本当に、同じ人だと思う…?」
崇文は、いやぁ、と言って頭を掻いた。
「俺、その店にいたっていう男のこと見てないから、わかんねぇや」
「まあ…そう、よね」
西日が強烈に街を照らし、あちこちのガラスに反射して眩しかった。
「千晶、もし、そいつと小山さんが同じだとしたら、何か気になることがあるのか」
と聞かれて、千晶は昨日の電話のことを思い出した。
「徹って、自分のことは話さないけど、私の行動をすごく知りたがるっていうか。なんかそういうところがあって…」