たとえばあなたが
「こんな時間に友達と遊ぶこと、よくあるの?」
刑事の視線が少し鋭くなったのを感じて、崇文は目をそらした。
「…別に」
説教のひとつでもされるかと覚悟したけれど、刑事はそれ以上、何も言わずに、また下を向いてメモを見た。
「どうして向かいが変だと思ったの?」
「…玄関が開けっ放しになってて、でも誰も出入りしてなかったから」
「なるほど。それで、中に入ってみた?」
崇文は、あの家に足を踏み入れたときの、全身が強張る感覚を思い出した。
「……玄関ちょっと入ったとこまで…」
少し声が震えた。
すると、右隣に座っていた大輔が、そっと崇文の腿に手を置いた。
たったそれだけで肩の力が抜けて、崇文は、不覚にも涙がこぼれそうになるのを必死でこらえた。
崇文の心境を察して、刑事もいたわるように、
「そうか、大変だったね」
と、やさしく言った。