たとえばあなたが
監視されているのかもしれない。
千晶は真剣にそう思ったが、崇文はそれを笑い飛ばした。
「そんなの彼氏なら普通じゃね?」
「え…」
「考えすぎだよ。もっと小山さんのこと信用してやれよ」
「信用…してないわけじゃないけど…」
そう思いたいのは、千晶だって同じだ。
でも、言いようのない不安が襲って来る。
昨日の電話の切迫したイメージが、どうしても拭い去れなかった。
怖い、なんてあまりにも失礼だろうか。
千晶自身、こんなことは思いたくなかった。
だけど最近、変な空気が渦巻いているような気がする。
そのせいで、生活の歯車がうまく噛み合わなくなっていた。
「いろいろなことが連続してて、疲れてるんだよ」
と、崇文が励ますように言った。
「明日はゆっくり休めよ」
「…うん、ありがと」