たとえばあなたが
まずい。
このままでは、まずい。
千晶が小山に不信感を抱いた。
もう、ゆっくり小山の身辺を探っている時間はない。
(どうして全然関係ないところから、小山を疑わせるような情報が出て来たりするんだ…!)
――
2月1日、月曜日。
外は雨だった。
崇文は、松越百貨店の近くのコーヒーショップでひとり、熱いコーヒーをすすっていた。
「…くそっ」
余裕を持って事を進めるつもりだったのに、女のゴシップ好きには閉口する。
「指定席にいた男って何だよ。そんな小さいこと、何でいちいち覚えてんだよ」
崇文は、誰にともなく愚痴をこぼした。
しかし計画を狂わされたことに不満を覚える一方で、気になることもあった。