たとえばあなたが
そろそろかな、と思ったちょうどそのとき、交差点に小山が現れた。
(…来た…!)
隣の礼子は、何も知らずにカフェラテを飲んでいた。
崇文は、さりげなく、
「あ、リアル・アリスの新しい室長さんですね」
と言った。
「え~どこですかぁ?私、まだお会いしたことないんですぅ」
礼子が信号待ちの人混みを見渡している。
そのとき、小山がこちらを見た。
崇文の心臓が、ドクンと大きく鼓動を打つ。
「…ほら…あそこですよ、あの、背の高い…」
すると、タイミングよく小山が崇文に会釈をした。
「あ、ほら今、僕に会釈した人です」
わかりますか、と言おうと礼子を見て、崇文は息を呑んだ。