たとえばあなたが
それはそのまま、あの凄惨な殺人現場に足を踏み入れることを意味する。
朋美が小さく悲鳴を上げて、震える手で顔を覆った。
いくら刑事たちがついているからといって、身内として放って置くわけにはいかない。
崇文がソファから立ち上がると、大輔も同時に立ち上がって、
「お前たちはここにいなさい。お父さんが見て来るから」
と、朋美と崇文に言った。
「でも…」
もう、夢ならいい、などと言っているときではない。
崇文は、強い目で大輔を見て言った。
「俺が行くから、お父さんはお母さんについててやって」
崇文は、足がすくむ気持ちを押して、リビングを後にした。