たとえばあなたが



「どうして行かないの~?」

座るやいなや、萌がまた飲み会の話を蒸し返す。

「用事がないんだったら、来てよ」

「用事があるのよ」

「じゃあさ、いつなら来れる?今度の飲み会、千晶の予定に合わせるから」

「…先に注文しよ。私、Aランチ」



千晶は、向かいの席から身を乗り出す萌を制して、店員に注文を告げた。

「あ、私もA」

萌は、店員のほうを見向きもしない。



「萌ちゃん、なんでそんなに私に来て欲しいの?」

千晶には、それがわからない。

千晶は、萌とは違って酒が飲めないうえに空気も読めないし、場を盛り上げるタイプでもない。



なのに、なぜそんな自分に声をかけてくるのか。




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