たとえばあなたが
地下から、乾いた爆発音が数回聞こえた。
(やったか…)
道行く人々は、そんな音など気にも留めずに先を急いでいる。
案外、そんなものだ。
崇文は静かに目を閉じた。
(千晶の勝ち…だな)
憎むべき相手を、そうとは知らずに愛した千晶。
最後の最後に、苦しい思いをさせてしまった。
(俺がもっと早く調べられたらなぁ…)
所詮、素人では限界がある。
それでも、こんなに近くにいたのに、という悔しさが湧いてきた。
崇文には、千晶に真実を打ち明けないという選択肢もあった。
けれどそんなことをしても、元通りの生活に戻れるわけでもない。