たとえばあなたが
これからの運命は、もうふたつに絞られていた。
崇文は、最後まで千晶に付き合うと決めている。
もし千晶が松田を殺して部屋から出てきたら、そのときは、すぐにありったけの金を下ろして、ふたりでどこかへ逃げる。
もし千晶が死ぬことを選べば、自分もそうする。
それだけのことだ。
千晶が選ぶ道を、自分も選ぶ。
不思議なことに、死に対する恐怖は感じなかった。
5年という歳月は、崇文にその覚悟をさせるには充分だった。
(さて、どうなるか…)
銃声が聞こえて、もう数分が経過している。
そろそろ様子を見に行こうかと思ったとき、地下室の扉が開く音が聞こえた。