たとえばあなたが



「だって千晶、彼氏ずっといないでしょ」

萌は、きょとんとした顔でサラリと言った。

「…それだけ?!」

「あとストレートの長い黒髪だし、目も大きいし、肌もキレイだし、飲み会行ったらモテると思うんだよねー」

萌は指を折りながら、千晶の外見のいいところを次々とあげた。



「あのね、萌ちゃんみたいなコンパ好きにはわかんないと思うけど、そういうの、余計なお世話って言うのよ」

と言って、千晶は水をひとくち飲んだ。



「あーまたバカにして。偏見があるみたいだから言っとくけど、飲み会ってやましいことじゃないんだからね」

「やましいじゃない。オトコオトコって」

「千晶が興味なさすぎなのー」

「今の私には出会いなんて必要…ない…こともないけど、そういう場での出会いは求めてないの」



千晶がそう言うと、萌はふんぞり返って、

「そういうこと言ってるとね、いつの間にか婚期を逃して、さみしい老後を送ることになるんだからね」

と説教口調で言った。




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