たとえばあなたが



銃なんて、一体どこで手に入れたのか。

やり切れない思いで、中西は奥歯を噛み締めた。



「ちょっとごめんよ」

中西は、ふたりの傍にしゃがんでいる警察官たちの間に分け入って、男の顔を改めて確認した。

「石田ぁ…。お前、なんでこんな…」

それ以上は何も言えなかった。

拳を強く握って、言葉にできない感情を押さえつける。



左腕にいとこを抱いた崇文の死に顔は、辺り一面に広がる血の光景に不似合いなほど、穏やかだった。



「中西さん、お知り合いなんですか」

後輩刑事が驚いている。

「…別に」

中西は、崇文の乱れた髪をぐしゃっと撫でて、立ち上がった。




< 433 / 446 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop