たとえばあなたが



「そんな先のことまで心配してくれなくて結構です」

ほんと余計なお世話、と呟いて、千晶はまた水を飲んだ。

ところが、明らかにふてくされている千晶を前に、萌は一歩も引かなかった。



「ねぇ~だからさぁ、来てよ明日!」

まるで駄々っ子のように手足をバタバタさせる。

「…はぁ~?!今の話の流れから、そこに戻る?」

「だって来てほしいんだも~ん」



あまりのしつこさに、千晶がこの店に来て何度目かのため息をついたとき、

「はいはーい、そこまで。Aランチふたつでーす」

さっき目配せで先客の存在を教えてくれた女性店員が、両手にプレートを持って割り込んだ。



「萌さん、あんまりしつこいと、千晶さんに嫌われるよ」

と笑いながら、店員はふたりの前にプレートを置いた。

萌は不満そうだった。




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