たとえばあなたが



崇文は、心の中で盛大に舌打ちをした。

(細かいとこまで聞いてんなぁ…)



「どうせ女の子にフラれちゃったんでしょ?アタシが付き合ってあげますからぁ」

冗談じゃない、と崇文は思った。

(こんな匂いの女と向き合ってカレーなんて食えるか!)



「いやあの、僕、やり残した仕事を片付けて帰ろうと思うんで…」

と苦しい言い訳を試みたが、

「じゃ、従業員で入口で待ってまぁ~す」

「……」



そんな言い逃れが通用する相手ではなかった。









< 55 / 446 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop