たとえばあなたが
「信じられる?40分よ、40分!」
千晶の自宅マンション近くの居酒屋。
崇文は、真正面から千晶ににらみつけられていた。
千晶がウーロン茶のグラスをダンッとテーブルに叩きつけるように置く。
「はいはい、お疲れさん」
ただのウーロン茶にもかかわらず、千晶のテンションは酔っ払いそのものだった。
しかしそこは長い付き合いの崇文らしく、気にも留めずに受け流していた。
グラスに残ったビールを一気に飲み干し、満足そうな表情を浮かべる。
千晶はそんな崇文の態度が気に入らない様子だった。
「聞いてんの、タカちゃん!」
「聞いてるよ。すいませーん、生中もうひとつ」
「……っもうっ!」
なんでもない月曜日の夜に、千晶がわざわざ崇文を呼びつけたのには理由があった。