続・シンデレラLOVERS ~AFTER三ヶ月目のジンクス~
「善雅くん……早く抱き締めて?」
目の前の日菜琉が熱っぽく潤んだ瞳で俺を見つめ、プルプルと艶めく唇で囁いた。
出会った頃は幼い感じがしたその顔は、数ヶ月経った今ではすっかり女の顔になってた。
日菜琉を抱きたいって言葉にするのは憚られたけど……好きって気持ちが募る程欲求は膨らんで。
でも、俺を見たら幸せそうにふわふわと笑う笑顔を壊したくなくてずっと押し殺してた。
それが今……日菜琉自身から抱いてくれって……。
散々女遊びしてきた癖に妙に緊張して、手のひらにはじわっと汗が滲んでた。
これがホントに好きな人と繋がるってコトか。
緊張とか愛しさとか不安とか色々な感情がぐるぐると頭の中を巡った。
ごくりと生唾が喉を通る。
少し湿った手を目の前の日菜琉へと伸ばす。
15……10、5センチ。
縮まる距離にキュッと瞳を閉じれば……。
「……んぁっ」
……キンコーンカンコーン。
俺の目の前には数学の公式が羅列していた。
起立!という委員長の威勢のイイ声と椅子を引きずる音で、ようやくさっきのが夢だったって理解する。