続・シンデレラLOVERS ~AFTER三ヶ月目のジンクス~
「善雅くんっ」
結局。
俺がマンションに着く途中で、こちらに向かって来た日菜琉と落ち合った。
小走りに駆け寄ってきた日菜琉が、切れた息を整えながらにこっと俺に笑いかける。
なんかやっとまともに日菜琉の顔を見た気がする。
何て言うか話とかそんなのより……まず抱きしめたい。
そう思って伸ばしかけた腕が、
「……マフラーは?」
「えっ?」
「して来なかったの?」
気が付けば不安そうに俺の首元を見つめる日菜琉の視線に遮られた。
俺のマフラーって言ったら日菜琉が作ってくれたカーキ色のヤツ。
もちろん今日も家から着けてきたけど……どうやら秋奈の家に忘れてきたらしい。
うっかりしてた……。
「朝急いでたから」
本当のことが言えずにとっさにごまかす俺に、
「じゃあ今日は帰るまでこれ着けて」
自分が着けてきたマフラーを外して、背伸びしながら首に巻いてくれる。
「良いって。日菜琉が寒いだろ」
「大丈夫。たくさん着て来たから」
こう言いながらまた、日菜琉はにこっと俺に笑いかけた。