続・シンデレラLOVERS ~AFTER三ヶ月目のジンクス~
皮肉と本音
紘也に見送られながら教室を出た後。
真っ直ぐ向かったのは裏庭だった。
ここには小さな裏門がある。
俺と日菜琉が出会った裏門が……。
あの時は地味で鈍臭い自分とは無縁の人間だって思ってたのに。
今じゃ一番大切な存在だもんな。
あの一ヶ月のことを思うと、さっき紘也が言ってたことが痛い程よくわかる。
だからこそ。
早く会って謝って仲直りしたい。
そんな逸る気持ちで裏門に手を掛けた時、
「日菜琉のところに行くの?」
不意に後ろから声がして思わず勢い良く振り返る。
「……日菜からよ」
声の主の顔が見えるより先に目の前にあったのは、俺が日菜琉に返したカーキ色のマフラーだった。
反射的にマフラーを受け取ると、いつも以上にムッとした顔で俺を見据える相沢が立ってる。
なんか文句の一つ二つ三つ言ってやろうって顔だな。
……言われてもしゃーないけど。
なんて俺の覚悟は大きく外れ、
「早く行きなさいよ。いつまで日菜に哀しい顔させるつもり?」
身を翻して背中を向けた相沢がちらっとこちらを一瞥して言ったのはこの一言だけだった。