読んだら死ぬ 本
「山城くん!奥の事務所で話そう」

私は、身構えながら、モップを持ちながら聞く事となった。

「すまないね、掃除のところ。この件だけど…実は…」


私は、驚いた。そして、館長の偉大さに気付かされた。

館長は、人殺しではなかった。

館長は、死のうとしている人に、死をとどまってもらう為、‘シボウ’の本を図書館に置いた。

そして、本の貸出欄にある名前と住所を尋ね。本に書かれている内容を元に、手助けをしていた。

後日、亡くなった人の家族に聞くと、館長は体をはって、死を防ごうとしてくれたそうだ。

‘シボウ’の本は、読んだ人が死ぬ本ではなく、死を防ぐ‘死防’の本であった。


      完
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