恋物語




理由は簡単、さっきの小さい声が原因だった。


「彼女だったんだね」
「でも、頑張れば普通に別れそうだよね」
「そうだね、狙おうかなあ」

という話を聞いて怒りが込み上げ、晶は自分の という感じに手を握ったのだ。



「なに?ほんと どうした?」


考えを巡らせているうちにいつの間にか立ち止まっていたようだ。心配してくれているのか晶が顔を覗き込んでくる。


晶の顔を見ようとしたら視界が滲んでいて自分が目に涙を溜めていることに初めて気付いた。

そんな様子を見ていた晶はひかるの頭をぽんぽんと優しくたたく。
涙をぬぐって晶の顔を見ると安心しろ というように笑って口を開く。



「同じクラスだといいな」



そう言い繋がれていた手をグイッと引っ張り歩き出す。


「うんっ!」


満面の笑みで返事をし歩き出す。


こんなことで機嫌を治すとはさすが単純なやつだ、と思いながら歩く晶。



「晶 だーい好きっ!」



ラブラブ光線を送りながら言うが、「はいはい」と受け流す晶にひかるが、


「晶はー?」


と問うが「はいはい」と流す。

「こーいうのは毎日が積み重ねなんだよー?」


「………(意味不明。)」


ついにはシカトだがひかるは一人で勝手にしゃべっている。



晶はさっきのを思い出したら頭の中に“バカップル”という文字が浮かび、最悪だと思いながら歩いた。




その手には彼女の手を重ねて。



(春以上に心が暖かい)




fin.



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