Fairy Garden〜妖精の庭〜
「ウィル!」
街の路地を歩いていた僕に後ろから誰かが声をかけてきた。
この声は…アレンだな。
あいつの声はもう聞き分けられるぐらい毎日聞いてるからな。さすがにもう分かるよ。
「アレン。どうしたんだ?」
振り向きながら答える僕はアランの姿を見て何を言いたいのか一目でわかった。
「やろうぜ」
そう言って手に持っていた木の棒をニヤッと笑いながら持ち上げた。
戦争の合図だ。
といっても何も殺し合いの戦争ってわけじゃない。それに大人のように立派な戦いをするわけじゃないんだ。
使うのは白銀の剣じゃなくて、木の棒。防ぐのは鋼鉄の盾じゃなくてお鍋の蓋。
これが僕らの戦争だ。